はじめに
医療現場のIT化が急速に進み、看護師の業務にも大きな変化が訪れています。電子カルテの普及、AI技術、ロボット導入による自動化 は、看護業務の効率化だけでなく、「なくなる業務」「変わる業務」の境界線を明確にしています。
「看護の仕事は人の手が必要だから、IT化しても影響はない」と思われがちですが、実際には一部の業務がなくなり、看護師の役割自体が変わっていくことが予想されています。
本記事では、IT化によって今後なくなる可能性が高い看護業務、逆になくならない業務、そして今後求められるスキル について詳しく解説します。
IT化によってなくなる可能性が高い看護師の業務
IT化の進展により、「記録・管理・単純作業」 に関わる業務は、最も自動化の影響を受ける分野です。以下に、具体的になくなる可能性が高い業務を紹介します。
1. バイタルサインの測定・記録
血圧・脈拍・体温などのバイタルサイン測定 は、かつては看護師が直接測定し、紙や電子カルテに手入力する業務でした。しかし、現在ではIoT機器とAI技術を活用した自動測定システム が急速に普及しています。
✅ なぜなくなるのか?
• ウェアラブルデバイスが24時間リアルタイムでバイタルを測定・記録
• AIが異常値を検知し、アラートを出すことで異常対応の負担を軽減
• 電子カルテと自動連携し、手入力の必要がなくなる
📌 実例:
国内の一部の病院では、測定したバイタルサインのデータを専用のPCにタッチするだけで、自動入力される端末を使用して業務の効率化を実現しています。

2. 軽度患者の見守り・夜間巡回
看護師の業務の中でも、夜間の巡回や見守り業務 は特に負担が大きい仕事です。しかし、現在ではナースロボットやAIカメラ、モーションセンサーを活用した見守りシステム が導入されつつあります。
✅ なぜなくなるのか?
• AIカメラやモーションセンサーによる自動見守りが発展
• ナースロボットが夜間巡回を行い、異常があると看護師に通知
• AIチャットボットが患者の簡単な問い合わせに対応
📌 実例:
病院ではありませんが、介護施設では既に巡回ロボットの導入が進んでいます。今後病院にも、何らかの形で巡回ロボットの導入が進んでいくことは時間の問題でしょう。
また見守りに限らず、様々な用途に応じた多目的ロボットの導入も進んでいます。人手不足、人材不足を緩和・解消するためにもロボットを導入することは必要不可欠な手段なのではないでしょうか?
3. 薬剤管理・配薬
配薬や薬剤管理 は、ミスが許されない業務ですが、AI・ロボティクスの導入により、この業務の一部が自動化 されています。
✅ なぜなくなるのか?
• 自動薬剤分包機が薬の仕分けを行う
• バーコード認証やRFID技術で、薬の管理ミスを防ぐ
• 電子カルテとの連携により、投薬指示が自動反映される
4. ナースコール対応の一部
ナースコールは、患者の緊急時の呼び出しだけでなく、簡単な質問にも対応する必要があります。最近ではAIチャットボットやスマートスピーカーを活用した自動応答システム が発展しています。
✅ なぜなくなるのか?
• AIが患者の質問に自動応答
• スマートスピーカーを活用し、リマインド機能を提供
• AIがナースコールの緊急度を判断し、優先順位をつける
IT化してもなくならない看護師の業務
IT化が進んでも、完全に代替されない業務もあります。
💡 なくならない業務
1. 患者とのコミュニケーション・心理的ケア
2. 高度な判断を伴うケア(急変対応、創傷処置)
3. 医療チームとの連携(医師・薬剤師・リハビリとの調整)
今後の看護師に求められるスキル
業務の自動化が進む中で、ITを活用し、より高度な業務を担える看護師が求められています。
✅ 必要なスキル
• ITリテラシー(電子カルテ・AIシステムの活用)
• データ活用スキル(バイタルデータの分析・判断)
• チーム医療におけるITツールの活用スキル(オンラインカンファレンスなど)
まとめ
医療のIT化が進むことで、看護業務の一部は削減され、より専門的な役割へシフトしていく ことが予想されます。
💡 この記事のポイント
• IT技術の導入により、バイタル測定・薬剤管理・ナースコール対応などが自動化
• しかし、対人ケアや臨床判断が求められる業務は今後も看護師が担う
• ITを活用できる看護師が、今後の医療現場で重要な役割を果たす!